テレビ視聴率の信憑性ってどうなの? – そのサンプル数で分析して大丈夫?

2020年5月20日

この記事はこんなことを書いています

「テレビの視聴率が20%の人気番組!」や「最高視聴率40%を記録!」など、視聴率はテレビ視聴者にとって興味のある情報です。

しかし、視聴率はどうやって測定されているのでしょうか?私たちのテレビは常に監視されているのでしょうか?

また、視聴率の信憑性・信頼性はどのくらいあるものなのでしょうか?

この記事ではそのような疑問に答えていきます。

後半には視聴率の測定によって生じる誤差について、数学的な考察を行っています。

テレビの視聴率について

テレビの視聴率という言葉が私たちの日常でよく出てきますね。

視聴率とは何かをウィキペディアで調べてみると、

視聴率(しちょうりつ)は、あるテレビ番組をその地区のテレビ所有世帯のうち何パーセントが視聴したかを表す推定値であり、一つの指標である。

引用元:視聴率 – Wikipedia

とありました。

つまり、

”100人中何人がそのテレビ番組を見ているか?”というもので、テレビ番組の人気を表すものなんですね。

視聴率20%といったら、100人中20人がその番組を見たことになります。視聴率20%は大人気番組ですね。

 

視聴率はどうやって計測しているの?

では、その視聴率はどうやって計測しているのでしょうか?

視聴率を知るためには、私たち国民が何の番組を見ているかを知る必要があります。

 

視聴率を調査しているのは、現在ではNHKの放送文化研究所が行っている”全国個人視聴率調査”と、ビデオリサーチという会社による調査の二つだけです。

NHKの調査は、年に2回、アンケート用紙に記入する形式で行われるものです。

一方、ビデオリサーチの調査は、モニターと呼ばれる世帯を地域ごとにランダムに選び出し、その世帯のテレビに接続された測器によって、どの番組が視聴されたかを固定電話回線等を使って集計しています。

 

ここで、少し問題があるのは、”固定電話回線を使って集計”という部分です。

最近では、固定電話の回線を引いている世帯は減ってきているでしょう。若い世代の人たちは携帯電話だけしか持っていないのが普通でしょうから。

これでは、固定電話回線を持っている少し年配の人たちのデータだけが集まり、国民全員に人気がある番組ではなく、年配の人たちに人気の番組が良い視聴率しか分かりません。

これでは、全国の国民を対象とした正確な視聴率とは言えませんね。

※ただし、インターネット回線や手書き調査票による方法もあるようです

 

サンプル数はどのくらい?

視聴率がテレビに付けられた測器を使って計測されているのは分かりましたが、その測器は全国すべてのテレビに付けられ、すべてのテレビの番組データが集計されているのでしょうか?

本当の視聴率を知るためには、そのようにしなければなりませんが、実際はランダムに選ばれたテレビだけに計測器が付けられています。

 

では、計測器が付けられる数はどのくらいでしょうか?

それは、地域によって違います。

  • 関東・関西・名古屋地区:600台(600世帯)
  • その他24地区:200台(200世帯)

です。

 

日本にあるすべてのテレビの数からすると、少ないような気もしますが、これだけの数が番組データ収集のために使われています。

 

信憑性・信頼性はどのくらい?

例えば、町ゆく人たち5人に昨日の夜に見たテレビ番組を聞いて、昨日の夜一番人気があった番組を決定できるでしょうか?

できませんよね。その5人がたまたま人気のない番組を見ている可能性が少なからずあるからです。

もっと多くの、1000人や10000人に聞くとどんどん結果が変わってくるかもしれません。

 

このように、あまりに少ない人数(サンプル数)を対象とした調査では、正確な結果は導けないのです。

では、前節でみたサンプル数600台や200台は、視聴率の正確な値を導くのに十分な数なのでしょうか?

調べてみましょう。

 

数学的な話は後にして、結果を先に述べます。

例えば、本当の視聴率が15%である番組があったとします。

それを600台のサンプル数で測定した場合、

視聴率が12%~18%の間に入る確率は95%

です。

ちょっと表現の仕方がややこしいですが、思い切って分かりやすく表現すると、

本当の視聴率は15%だが、600台のサンプル数で測定したときは、12%や18%までズレた結果が出る可能性も十分にあるよ

ということです。

 

さらに、200台のサンプル数で測定した場合は、

視聴率が10%~20%の間に入る確率は95%

です。

10%や20%までズレた結果が出る可能性も十分にあるということですね。

 

この結果はあまり信憑性・信頼性の高いとは言えないですよね。

例えば調査の結果、視聴率13%と視聴率17%の番組があったとして、どちらが本当に視聴率が高いのかは実際のところは分からないわけです。

 

数学的に考える

ここからは数学を使って、なぜ上で述べたような結果になるのかを考えていきましょう。

少しだけ統計学の知識が必要となります。

 

本当の視聴率を\(p\)とします。

調査のサンプル数が\(n\)であるとき、得られた視聴率が\(q\)であったとします。

このとき、得られた視聴率\(q\)が信頼区間95%以内に入っているためには、次の範囲に収まっていないといけません。※この式の導出はここでは述べません

$$p-1.96 \sqrt{\frac{p(1-p)}{n}} < q < p+1.96 \sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}$$

この式に本当の視聴率\(p=0.15\)(\(15\)%)とサンプル数\(n=600\)を代入して計算すると、

\begin{align}
0.15-1.96 \sqrt{\frac{0.15(1-0.15)}{600}} & < q < 0.15+1.96 \sqrt{\frac{0.15(1-0.15)}{600}} \\
0.120845 & < q < 0.179155 \\
12.0845\% & < q < 17.9155\%
\end{align}

となります。

 

つまり、サンプル数が600台の場合、95%の確率で12%~18%の間に入る。

言い換えれば、「サンプル数が600台では12%~18%の間のどの値をとってもおかしくないよ」ということになります。

厳密に述べると、5%の確率でこの範囲外の値にもなってしまうのですが…

 

サンプル数200台の場合も同じようにして計算できますので、やってみてくださいね。

 

まとめ

  • テレビの視聴率はすべてのテレビの情報を使っているわけではなく、地域毎に600か200台分のデータを使っている
  • 600台の調査の場合、本当の視聴率が15%の番組を測ったとき、12%~18%の間でどの値をとってもおかしくない
  • 200台の調査の場合、本当の視聴率が15%の番組を測ったとき、10%~20%の間でどの値をとってもおかしくない
  • テレビ番組の視聴率の信憑性・信頼性を考えるとき、このくらいの誤差があることを覚えておこう

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