くじを引く順番でアタリを引く確率は変わる?

”くじ引き”は、お祭りや、学校、宝くじなど色々な場面で使われている便利な道具です。
ここでは、そんなくじ引きが、”引く順番によって有利不利があるのか”、”あるとすれば何番目に引く人が有利なのか”を調べていきます。
これを知っていれば、得をすることがあるかもしれません。
くじ引きは何番目に引いた方が当たる確率が高い?
私たちの身近には、さまざまな”くじ引き”が存在します。
お祭りや、学校での係を決めたり、宝くじも一種のくじ引きですよね。
そんな”くじ引き”ですが、くじを引く順番でアタリを引く確率は変わると思いますか?
例えば、ここに10枚のくじがあり、その中に1枚だけアタリが入っているとしましょう。
これを10人が1枚ずつ引いていくことを考えます。
一番初めに引く人がアタリを引く確率が高いでしょうか?
それとも、最後の人?もしくは、真ん中あたりの人が一番アタリを引く確率が高いでしょうか?
ここでは、そんなことを考えていきます。
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まずは単純なくじ引きで考えてみよう
問題を極限まで単純にして考えるのが、数学の基本です。
まずは、下の問題を考えてみましょう。
くじが2枚入っている箱があります。アタリはその中の1枚です。
ここから2人が、順番にくじを引くとき、アタリが出る確率が高いのはどっちでしょう。
こんな問題から考えてみましょう。
くじを引く2人のうち、最初に引く方をAさん、後から引く方をBさんとしましょう。
Aさんが、2枚のくじから1枚のアタリを引く確率は、
$$\text{Aさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{2}$$
ですね。
一方、Bさんは残った1枚のくじを引くだけです。
このとき、Bさんがアタリを引くためには、Aさんがハズレを引いている必要があります。
ですから、
$$\text{Bさんがアタリを引く確率} = \text{Aさんがハズレを引く確率}$$
となり、
$$\text{Bさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{2}$$
となります。
よって、AさんとBさんのアタリを引く確率は同じです。
2人でくじを引く順番によって当たる確率は変わらない
ということですね。
どんなにくじの枚数が増えても確率は変わらない
上ではたった2枚のくじを使ったときを考えましたが、もっとくじの数が増えたらどうでしょうか?
次は、くじを3枚、もっとそれ以上に増やした場合に”アタリを引く確率”がどうなるかを考えていきましょう。
くじが3枚の場合ではどうか
くじが3枚の場合では、どうでしょうか?
3枚のくじのうち、1枚がアタリ、2枚がハズレです。
Aさん、Bさん、Cさんの3人が順番にくじを引いていくとき、一番当たる確率が高いのは、だれでしょうか?
まずは、1番目のAさんがくじを引くときに、アタリを引く確率です。
それは、3枚の中から1枚のアタリを引く必要があるため、
$$\text{Aさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{3}$$
ですね。
次に、2番目のBさんはどうでしょうか?
Bさんは、もしAさんがアタリを引いてないときは、残った2枚の中の1枚のアタリを引くということになります。
つまり、
$$\text{Bさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{2}$$
でしょうか?
…ということは、
Aさんがアタリを引く確率\(\frac{1}{3}\)より、Bさんがアタリを引く確率\(\frac{1}{2}\)の方が高い
ということになりますね。
Bさん有利です!
しかし、これは間違いなのです。
なぜなら、Aさんがアタリを引いたときのことを考えていないからです。
Bさんがアタリを引く確率が\(\frac{1}{2}\)なのは、Aさんがハズレを引いたときを仮定した場合です。
しかし、実際はAさんがアタリを引いてしまうことだってあるのです。
よってBさんがアタリを引くためには、
Aさんがハズレを引いて、さらに自分がアタリを引く確率
を求めなければいけません。
3枚のくじの中にハズレは2枚ですので、Aさんがハズレを引く確率は、
$$\text{Aさんがハズレを引く確率} = \frac{2}{3}$$
です。
さらに、さっき見たように、Aさんがハズレを引いたとしたときに、Bさんがアタリを引く確率は、
$$\text{Aさんがハズレを引いたとき、Bさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{2}$$
です。
これらは、連続で起こる事柄(できごと)ですので、掛け算すると、
$$\text{Bさんがアタリを引く確率} = \frac{2}{3} \times \frac{1}{2} =\frac{1}{3}$$
となります。
これは、Aさんがアタリを引く確率と同じですね。
最後にCさんです。
Cさんは最後にくじを引くため、自分ではくじを選べません。
Cさんの番までまわってきたときに、アタリくじが残っていればよいのです。
そのためには、Aさんがハズレを引き、さらにBさんもハズレを引く必要があります。
Aさんがハズレを引く確率は、3枚中2枚のハズレくじを引くので、
$$\text{Aさんがハズレを引く確率} = \frac{2}{3}$$
ですね。
さらに、Bさんが残った2枚のうち、1枚のハズレくじを引くので、
$$\text{Bさんがハズレを引く確率} = \frac{1}{2}$$
ですね。
最後に、これらを掛けると、AさんとBさんの両方がハズレを引く確率が求まります。
$$\text{AさんとBさんがハズレを引く確率} = \frac{2}{3} \frac{1}{2} = \frac{1}{3}$$
となります。
この確率は、Cさんがアタリを引く確率となります。
これより、Aさん、Bさん、Cさんがアタリを引く確率はすべて\(\frac{1}{3}\)となりました。
よって、
くじを引く順番によって、アタリが出る確率は変わらない
という結論となります。
くじの数をもっと増やしたらどうか
では、もっともっとくじの数を増やしたらどうでしょうか?
例えば、100人や1000人でくじ引きをしたとき、1枚のアタリくじを引く確率はどうでしょうか?
数学的な証明はここでは述べませんが、
どんなに人数(くじ)を増やしても、アタリが出る確率はすべての人は同じ
です。
これを感覚的に理解してみましょう。
1000人で1000枚のくじの中から1枚のアタリくじを引くことを考えます。
最初にくじを引く人と、最後にくじを引く人でどちらが当たる確率が高いでしょうか?
最初にくじを引く人は、1000枚中1枚のアタリくじを選ぶ必要がありますね。
これは、かなり確率が低いです。
一方、最後の人は前に引く999人が全員ハズレくじを引く必要があります。
これもかなり確率が低そうですよね。
このように、結局、何番目にくじを引いてもアタリを引く確率は変わらないのです。
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先に引く方が有利な場合もある?
このように、”くじ引き”はよくできていて、すべての人が平等の確率でアタリくじを引くことになります。
しかし、ルールによっては平等では無くなってしまう場合もあります。
例えば、次の問題を考えてみましょう。
3人で3枚のくじの中から1枚のアタリを引くとき、くじを引いた人はくじを箱に戻してから次の人がくじを引くというルールとします。
その場合、アタリが出たらそこでくじ引きは終了です。
Aさんがアタリを引く確率は、当然、
$$\text{Aさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{3}$$
ですね。
次にBさんがアタリを引く確率は、順番がまわってきたら、
$$\text{Bさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{3} = 33.33\%$$
です。
Aさんが引いたくじは箱に戻してから、くじを引くためです。
しかし、順番がまわってくるには、Aさんがハズレを引く必要があります。
Aさんがアタリを引いたら、そこでくじ引きは終了ですからね。
Aさんがハズレを引く確率は、
$$\text{Aさんがハズレを引く確率} = \frac{2}{3}$$
です。
よって、Bさんがアタリを引くには、Aさんがハズレを引き、かつBさんがアタリを引く必要があるため、その確率は、
$$\text{Bさんがアタリを引く確率} = \frac{2}{3} \times \frac{1}{3} = \frac{2}{9} = 22.22\%$$
となります。
最後に3番目にくじを引くCさんは、AさんとBさんがハズレを引き、かつ自分がアタリくじを引く必要があります。
なので、確率は、
$$\text{Cさんがアタリを引く確率} = \frac{2}{3} \times \frac{2}{3} \times \frac{1}{3} = \frac{4}{27} = 14.81\%$$
です。
まとめると、
\begin{align}
\text{Aさんがアタリを引く確率} = \frac{1}{3} = 33.33\% \\
\text{Bさんがアタリを引く確率} = \frac{2}{9} = 22.22\% \\
\text{Cさんがアタリを引く確率} = \frac{4}{27} = 14.81\%
\end{align}
となります。
後からくじを引いた人の方が、アタリを引く確率が低いですね。
よって、
ルールによっては、先にくじを引く人の方が有利である
場合もあるのです。
まとめ
- 通常のくじ引きでは、順番によって有利不利は無い
- それは、くじ(人数)の数がどんなに大きくなっても同じである
- ルールによっては、先にくじを引く人の方が有利である場合もある
ディスカッション
コメント一覧
ものすごくわかりやすいです!
数学的な反論ではないですが、現実的には前の人が当たりを引いて当たりの出る確率が下がったくじをわざわざ引く人はいないと思います。
例えば全部で10枚で当たりが1枚のクジがあると考えます。これをAさん、Bさんの順に引きます。
条件付き確率ではBさんが当たりを引く確率は、Aさんが当たりを引く場合と、ハズレを引く場合に分けて考えると思います。しかし、Aさんが当たりを引いた場合Bさんが当たりを引く確率は0です。つまり、BさんはAさんが当たりを引いた時、普通はクジを引きません。つまり、Bさんがクジを引く場合はAさんがハズレを引いた時のみで、Bさんが当たりを引く確率は1/9であるとも言えます。この際にBさんがハズレを引く確率に関しては感がおる必要が無いと思っています。どうせAさんが当たりを引けばくじを引かないだけですから損はありません。
数学的には条件付き確率の言っていることは間違っていませんが、現実的には皆、私のような思考法でクジ引きに挑んでいると感じました。
長文失礼しました。
1億人でも同じ
そー
ほんとすか?
アタリの確率が異なる問題って、「誰もアタリをひかない」ってパターンはどう扱うといいんでしょう?
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