【高校数学(因数分解)】分数が登場する式を因数分解する方法 – わかりやすく解説します


- 式中に分数が入ると因数分解ができなくなる
- 分数があると因数分解ができないから方程式が解けない
式中に分数が入る場合、因数分解をするために、まずは分数をなくす計算をしなくてなりません。
そのためには、まず分母に注目することから始めましょう。
分数をなくすことができれば、あとはいつもどおりの因数分解ができます。
分数が登場する因数分解はこうやって解こう
分数が登場しない因数分解はできるようになりましたか?
因数分解は2次方程式を解くためにも必要なことなので、習ったときに必ずマスターしておきましょう。
分数が登場しない通常の因数分解はできても、分数が式中に登場すると今まで慣れた形と違うので、戸惑ってしまいます。
因数分解に限らず色々な問題で、
「分数が入ってくるだけでわからなくなる」
という人は多いでしょう。
分数は数学が苦手な人からすると、なんか嫌な存在ですよね。
なので、因数分解をするときだけでなく、数学においてはなるべく、
分数を消す作業をする!
と覚えておいてください。
分数さえ消えてくれれば、あとはいつも通り落ち着いて解いていくだけですから。
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分数を消すには分母に注目しよう
基本的なところからおさらいしましょう。
例えば次の分数、
$$\frac{1}{5}$$
を整数に変えるためにはどのような計算をしたらよいですか?
答えは、この分数に\(5\)を掛け算すれば良いですね。
すると、
$$\frac{1}{5} \times 5 =1$$
となり、分数は消え整数になりますね。
このとき、注目するポイントは分母(分数の下の部分)です。
分母の数字を掛け算してあげれば分数は消えます。
これが重要なポイントです。
分数が登場する式の因数分解
さっそく分数が含まれている式の因数分解をやってみましょう。
因数分解の例題①
次の問題を考えます。
$$\frac{1}{3}x^2 + \frac{5}{3}x + 2$$
を因数分解せよ。
分数が含まれていて、嫌な感じですね。
まずは分数を消すことから始めましょう。
分数を消すには、分数の分母を掛ければオッケーでした。
そこで、問題式の分数を見てみると、分母は\(3\)です。
なので、問題の式全体にまずは、\(3\)を掛けます。
\begin{align}
3 \times \left( \frac{1}{3}x^2 + \frac{5}{3}x + 2 \right) &= 3 \times \frac{1}{3}x^2 + 3 \times \frac{5}{3}x + 3 \times 2 \\
&= x^2 + 5x + 6
\end{align}
これで、分数が消えました!
しかし、ここで注意です。
いま、勝手に式全体に\(3\)を掛けました。
すると、いまの式は本来の式よりも\(3\)倍大きな値となっているはずです。
なので、これを元に戻すために式全体を\(3\)で割っておきましょう。
\(3\)で割るということは、\(\frac{1}{3}\)を掛けるということなので、
\begin{align}
(x^2 + 5x + 6) \div 3 = \frac{1}{3} (x^2 + 5x + 6)
\end{align}
となります。
これで、元の大きさに戻りました。
あとは、この式の( )の中を因数分解するだけです。
これは、簡単にできますよね。
\begin{align}
\frac{1}{3} (x^2 + 5x + 6) = \frac{1}{3} (x+2)(x+3)
\end{align}
これで因数分解が完成です。
\begin{align}
\frac{1}{3}x^2 + \frac{5}{3}x + 2 = \frac{1}{3} (x+2)(x+3)
\end{align}
因数分解の例題②
次の問題を考えます。
$$\frac{1}{4}x^2 + \frac{3}{2}x + \frac{5}{4}$$
を因数分解せよ。
今度も分数が含まれています。
しかも、今度は分母が\(2\)と\(4\)のものが混じっています。
こんなときは、
二つの分母の数の最小公倍数
を掛けましょう。
つまり、いまの場合は、\(2\) と\(4\)の最小公倍数である\(4\)を式全体に掛けます。
\begin{align}
4 \times \left( \frac{1}{4}x^2 + \frac{3}{2}x + \frac{5}{4} \right) &= 4 \times \frac{1}{4}x^2 + 4 \times \frac{3}{2}x + 4 \times \frac{5}{4} \\
&= x^2 + 6x + 5
\end{align}
左辺の真ん中の項は分母が\(2\)ですので、\(4\)を掛けるということは\(3 \times 2 = 6\)となります。
\(\frac{3}{2}\)の分母だけ消して\(3\)としないように注意してください。
そして、掛けた分だけ割って、大きさを戻すことを忘れないようにしましょう。
\begin{align}
\left( x^2 + 6x + 5 \right) \div 4 = \frac{1}{4} \left( x^2 + 6x + 5 \right)
\end{align}
さて、あとは( )の中を因数分解するだけです。
\begin{align}
\frac{1}{4} \left( x^2 + 6x + 5 \right) &= \frac{1}{4} (x+1)(x+5)
\end{align}
これで因数分解が完了です。
\begin{align}
\frac{1}{4}x^2 + \frac{3}{2}x + \frac{5}{4} = \frac{1}{4} (x+1)(x+5)
\end{align}
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分数が登場する二次方程式も解ける
ここまでで分数が含まれた式の因数分解をできるようになったと思います。
これができるようになれば、分数が登場する二次方程式も解けるようになります。
以下では、例題を2問解いてみましょう。
二次方程式の例題①
以下の問題を考えます。
次の2次方程式、
$$\frac{1}{3}x^2 + \frac{5}{3}x + 2 = 0$$
を因数分解し、\(x\)の値を求めよ。
さて、早速分数が入ってきました。
まずは、分数を消しましょう!
問題の式を見ると分母には\(3\)が入っていますね。
なので式全体に\(3\)を掛け算してみましょう。
\(3\)を掛けるのは、「式全体」です。その分数だけに\(3\)を掛けてしまうと間違いますので注意してください。
式のすべての項に\(3\)を掛けたことによって、分母の\(3\)と掛けた\(3\)が約分できるので、
\begin{align}
3 \times \frac{1}{3} x^2 + 3 \times \frac{5}{3}x + 3 \times 2 &= 3 \times 0 \\
x^2 + 5x + 6 &= 0
\end{align}
となります。
\(0\)には何を掛け算しても\(0\)ですので、右辺はそのままになっています。
このように、方程式に分数があれば掛け算をして分数をなくしましょう!
ここで、「\(3\)で割らなくていいの?」と思った方もいるかもしれません。
前に解いた、
$$\frac{1}{3}x^2 + \frac{5}{3}x + 2$$
の因数分解は、\(3\)を掛けたあと、元の大きさに戻すため最後に\(3\)で割っていました。
しかし、\(=\)で結ばれている方程式(等式)の両辺に同じ数を掛ける場合は、その必要はありません。
\(=\)がある等式は、左右が等しいという式です。
ですので、\(=\)で結ばれている両辺は同じ数であり、その両辺に同じ数を掛けてもやっぱり同じ数です。
等式が成り立っていればよいため、値の大きさなどは気にしなくていいからです。
分数さえなくなれば、あとは普通に因数分解ができます。
\begin{align}
x^2 + 5x + 6 &= 0 \\
(x+2)(x+3) &= 0
\end{align}
ここまで分かれば、この2次方程式の解が求まります。
答えは、
$$x=-3, -2$$
ですね。
二次方程式の例題②
では、次の問題を解いてみましょう。
2次方程式、
$$\frac{1}{4}x^2 + \frac{3}{2}x + \frac{5}{4} =0$$
を解け。
さて今度も分数が入っていますが、例題①と違うのは分母の数が異なることです。
このように、分母が違う場合は、各分母の最小公倍数を掛け算しましょう。
\(4\)と\(2\)の最小公倍数は\(4\)ですね。
ですので、\(4\)を掛け算することにより全ての分母が約分できるようになります。つまり、分数を消すことができるのです。
左辺の真ん中の項は分母が\(2\)ですので、\(4\)を掛けるということは\(3 \times 2 = 6\)となります。
\(\frac{3}{2}\)の分母だけ消して\(3\)としないように注意してください。
あとは簡単な因数分解だけですね。
\begin{align}
x^2 + 6x + 5 = 0 \\
(x+1)(x+5) = 0
\end{align}
よって、
$$x=-5, -1$$
となります。
まとめ
分数が登場する式の因数分解と二次方程式中に分数が入ったときの解き方を説明してきました。
式中に分数が入る場合、因数分解をするために、まずは分数をなくす計算をしなくてなりませんでした。
約分させることができれば怖くはありません。あとは、通常通りの因数分解をするだけです。
では、以下に重要なポイントをまとめて終わります。
- 分数が出てきたら消すことを考えよう
- そのためには、分母の数字に注目すること
- 分母が違う場合は、それらの最小公倍数を掛けよう
ディスカッション
コメント一覧
成程~☆分数の因数分解面白いですね!
沢山問題解いて解き方を覚えます。