検索順位とクリック率の関係を数学を使って独自に解析

ここでは、検索順位とクリック率の関係を数学を使って独自に解析してみたので紹介します。
検索順位とクリック率の関係は「2017年Google検索順位別クリック率データ発表!SEOはキーワード選定がカギ!」などで公表されてありますが、それはあくまでインターネット検索全体に対しての結果です。
その結果をそのままどのサイトにも当てはめて考えてよいのでしょうか?
サイトのジャンルなどによって、この関係は大きく変化しないのでしょうか?
これらのことを確認しつつ、最終的には数学的に独自の解析を行って、サイトを評価するところまでやっていきます。
はじめに
検索順位とクリック率の関係を数学を使って独自に解析してみたいと思います。
はじめは”検索順位”と”クリック率”についてなど基本的なことについて説明しています。
知っている方は読み飛ばしてくださいね。
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みなさん、ネットで何かを検索するとき、google(グーグル)やyahoo(ヤフー)などの検索ボックスに調べたいキーワードを入力しますよね。
例えば、「数学 面白い トリビア」と検索したとします(下の画像)。
すると、あなたの知りたいであろう情報が載っているページの検索一覧が表示されますよね。
この表示される順番が”検索順位”です。
検索者は一番上のサイトからタイトルを見ていき、自分の知りたい情報が書いてありそうなサイトがあれば、それをクリックします。
当然ですが、検索順位が上であるサイトの方がクリックされやすいということです。
クリック率とは
クリック率とは、サイトが検索一覧に表示されたとき、どのくらいの確率でクリックされるかということです。
例えば、クリック率100%というのは、検索一覧に表示されれば、必ずクリックされるサイトであるということです。
逆にクリック率0%というのは、一回もクリックされないことです。
クリック率50%は、検索一覧に2回表示されたとき、1回はクリックされるということですね。
サイトを作った人としては、自分のサイトを訪れて欲しいですから、このクリック率は高い方がよいです。
そして、クリック率を上げるには、検索順位を上げることが重要だということも明らかです。
検索者は検索一覧の上からチェックしていきますからね。
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検索順位とクリック率の関係はどうなっているの?
検索順位とクリック率の関係の特徴
検索順位とクリック率の関係はどうなっているのでしょうか?
当然、検索順位が高い方が、クリック率も高いでしょう。これは容易に想像できます。
誰しも、はじめから検索順位が低く下の方にあるサイトに向かうことはないですからね。
もっと具体的に考えましょう。例えば、
検索順位が1位のサイトのクリック率は何%でしょうか?
また、
検索順位が2位、3位と落ちていくと、クリック率はどのような変化をするのでしょうか?
このような疑問に対して、Internet Marketing Ninjasという機関が”2017年版のGoogle検索順位別クリック率データ”というものを公開しています。
それによると、検索順位とクリック率の関係は下のグラフのようになるようです。
横軸は検索順位、縦軸はクリック率です。右のグラフは、ただ左のグラフの青枠で囲った部分を拡大しただけです。
例えば、検索順位が1位のときに注目してみましょう。
検索順位が1位のときは、だいたいクリック率は21%程度ということが読み取れます。
つまり、検索順位が1位のサイトは、21%の確率でクリックされているということです。言い換えれば、5回に1回はクリックされるということですね。
どうでしょうか?あなたの感覚と一致していましたか?
ちなみに、私の感想は、
「検索順位が1位の記事はもっとクリックされていいんじゃないか。」
です。
自分が調べものをするときは、大抵の場合は一番上のサイトをとりあえずクリックするからです。
まあ、自分の感想は置いといて、もっと詳しく見ていきましょう。
検索順位2位はどうでしょうか。上のグラフから約11%であることが分かります。
1位の半分以下に一気に落ちてしまいました。これでは、10回に1回しかクリックされません。
3位は7.5%ほどです。2位からの”落ちぐあい”は、3.5%ですね。
1位と2位の差ほど大きくはありません。
その後の順位も同じように調べていくと、だんだん”落ちぐあい”は小さくなっていきます。
このように、検索順位とクリック率の関係は、
検索順位が上位の方で落ちぐあいは大きく、下位の方では小さくなる
という特徴をもっています。
データの変化を式で表現してみよう
このような特徴を持つデータは、”累乗近似線”という直線でよく表現することができます。
累乗近似線という聞きなれない単語が登場しましたが、難しく考える必要はありません。
とにかく、検索順位とクリック率の関係は、下の式で表されるということです。
$$\text{クリック率}=a \times \text{検索順位}^b$$
\(a\)と\(b\)は定数であり、この値はデータにもっとも合うように決められます。
上のグラフに、この”累乗近似線”を描いてみましょう。
青の線が累乗近似線ですが、結構ちゃんとデータ(赤点)の変化を表現できていることが分かりますね。
グラフ内に書いている式が累乗近似線の式です。\(a\)と\(b\)はデータにもっとも合うように決められています。
\(y\)はクリック率、\(x\)は検索順位です。
式から何が分かるの?
式を書くと、
\begin{align}
& \text{クリック率} = a \times \text{検索順位}^{-b} \\
& \text{ただし、}a=0.2315, \quad b=1.171
\end{align}
です。
式を出したはいいですが、これから何が分かるのでしょうか。
\(a\)が大きいほどクリック率は全体的に高い
まずは、\(a\)の値に注目してみましょう。\(a\)を上の式よりも大きくしてみます。
$$a=0.5$$
としてみましょう。
すると、累乗近似線は、下の赤い線のように変化します。
元の青い線よりも全体的に上にきています。※前のグラフとは縦軸の範囲が変わっていることに注意してください。
青い線と赤い線、どっちがサイトにとっていいと思いますか?
例えば、検索順位1位のときのクリック率で比較してみましょう。
青い線では\(23\)%ですが、\(a\)が大きい赤い線では\(50\)%です。
赤い線の方が、よくクリックされることが分かります。他の検索順位についても同じように赤い線のほうがよいですね。
つまり、
\(a\)が大きいほどクリック率は高い → \(a\)は大きい方がよい
ということになります。
\(a\)が大きいということは、全体的なクリック率が高いということです。
\(b\)は検索順位が下位になったときのクリック率の低下しにくさを表す
続いて、\(b\)について考えましょう。今の\(b\)の値は、
$$b=1.171$$
でした。これを、
$$b=0.5$$
と小さくしてみましょう。
すると、グラフは下のようになります。
検索順位が1位のときのクリック率は変わりませんが、検索順位の低下に対して青の線よりも緩やかに減少するようになりましたね。
これは良いことでしょうか?
例えば、検索順位が5位のときを見てください。
元の青い線では、クリック率が3%です。
一方、\(b\)を小さくした赤い線では、約10%とクリック率が上昇しています。
ということは、クリックされる確率が上がったので、これは良いことですね。
上のグラフから分かるように、\(b\)が小さいと、検索順位が落ちてもあまりクリック率が減少しないようになります。
すなわち、
\(b\)は検索順位が下位になったときのクリック率の低下しにくさ
を表す指標となっているのです。
\(b\)は小さいほど良いです。
まとめ
ここまでをまとめます。
- 検索順位とクリック率の関係は”累乗近似線”で表現できる
- 検索順位が上位のときは、一つ順位を落とすだけで大幅にクリック率が小さくなる
- 一方、検索順位が下位のときは、一つ順位を落としてもクリック率はそこまで減少しない
- ”累乗近似線”の式(\(ax^{-b}\))の
・\(a\)は、全体的なクリックされやすさ
・\(b\)は、検索順位が下位になったときにクリック率の低下しにくさ
を表すもので、\(a\)は大きい方がよい、\(b\)は小さい方がよい
このように、\(a\)も\(b\)もサイトを評価するための指標になっているのです。
自分のサイトの特徴を調べてみよう
”2017年版のGoogle検索順位別クリック率データ”をもう一度みてみましょう。
この結果は、多くの検索キーワードに対して調べられ、その平均をとったものです。
例えば、「数字 面白い」で調べられた時と、「東京 観光」で調べられたときの検索順位とクリック率の関係は違うでしょう。
一方は、検索順位1位のクリック率が28%あり、もう一方は15%しかないかもしれません。
そのようなバラつきはあるでしょうが、たくさんのキーワードに対してサンプルをとって平均したのが上のグラフなのです。
わたしは自分のサイトを運営していますが、自分のサイトに対して上のグラフを使って考えてよいかは疑問が残るところです。
何度も言いますが、私のサイトにきてくれる人たちが検索しているキーワードに対しては、上のグラフと全く違う検索順位とクリック率の関係である可能性があるからです。
ですので、自分のサイトの検索順位とクリック率の関係を調べる必要がありますね。
自分のサイトの検索順位とクリック率を調べよう
まずは、自分のサイトの検索順位とクリック率のデータを入手します。
一か月間のデータは下のようになっていました。
上の表の一行分が、あるキーワードが調べられたときの自分のサイトのクリック率と検索順位です。
この表はまだまだ下に続いており、今回は解析に使用するデータとして1000個のキーワードのクリック率と検索順位を入手しました。
このデータに対して、クリック率と検索順位を見ていきます。
例えば、上の表の一番上は、
クリック率:9.44%
検索順位:4位
ですね。
これをグラフにプロットすると、
グラフ上に一つの点が打たれます。
こんな感じで1000個のデータに対して、同じように点を打っていくと下のようなグラフになります。
全体的な傾向としては、検索順位が上位であるほどクリック率はよいという予想通りの結果となっていますが、以下のようないくつか面白いデータもみてとれます。
- 表示されれば、必ずクリックされる場合も2ケースであるが存在している
- そのようなケースは、やはり検索順位が1位のときである
- 逆に、検索順位が1位なのにクリック率が15%しかない場合もある
- 数ケースではあるが、検索順位が低くても比較的クリック率が高い場合もある
さて、次は、このグラフに累乗近似線を引きたいのですが、データがバラバラのままでは線が引きにくいです。
そこで、検索順位が同じデータについてはその平均をとってしまいましょう。
つまり、検索順位が1位のデータだけでクリック率を平均し、検索順位が2位のデータだけで平均する、3位のデータだけで平均する、…
といった操作をします。
すると、下のグラフのようにスッキリします。
こんなにきれいに結果が出るとは…感動です!
ついでに、累乗近似線まで書いてしまいました。
累乗近似線の\(a\)と\(b\)を見てみましょう。
\begin{align}
a & = 0.8615 \\
b & = 1.31
\end{align}
です。
\(a\)と\(b\)の示す意味を思い出しましょう。
- \(a\)は、全体的なクリックされやすさ
- \(b\)は、検索順位が下位になったときにクリック率の低下しにくさ
でしたね。\(a\)は大きいほどよく、\(b\)は小さいほどよいです。
わたしのサイトの\(a\)と\(b\)の値はどうなのでしょか?
この値を評価するには、何か比べるための基準が必要です。
そこで、最初に見た”2017年版のGoogle検索順位別クリック率データ”の出番です。
そこでの\(a\)と\(b\)の値は、
\begin{align}
a & = 0.2315 \\
b & = 1.171
\end{align}
でした。
このデータは非常に多くの検索キーワードに対して行われたものですので、いわばすべての検索キーワードの平均と思ってよいでしょう。
なので、「全体の平均値と比べて自分のサイトがどうか?」という考察ができます。
平均値 | 自分のサイト | |
---|---|---|
全体的なクリックされやすさ(\(a\)) | 0.2315 | 0.8615 |
検索順位が下位になったときにクリック率の低下しにくさ(\(b\)) | 1.17 | 1.31 |
比べてみると、\(a\)の値は大きく平均値を上回ってます。
つまり、”全体的なクリックのされやすさ”は平均よりかなり良いという結果になりました。
また、\(b\)の値は平均値に比べて、若干ですが高いです。
\(b\)の値は小さいほうが良いですので、”検索順位が下位になったときにクリック率の低下しにくさ”に関しては改善の余地があるかもしれないです。
…とこんな解析をしてみました。というお話でした。
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最後に
今回の解析で分かったことは、
公表されている検索順位とクリック率の関係はあくまで全体の平均であり、サイトによって全く傾向が違う
ということです。
それは、タイトルやタイトル下に表示される説明文によって変わることもあるでしょうし、サイトのジャンルなどによっても違ってくるでしょう。
まとめ
- 公表されている検索順位とクリック率の関係はあくまで全体の平均であり、サイトによって全く傾向が違う
- 検索順位とクリック率の関係は”累乗近似線”で表現できる
- 累乗近似線の式からサイトの検索順位とクリック率の関係の特徴を評価することができる
- 評価できるのは、”全体的なクリックされやすさ”と”検索順位が下位になったときにクリック率の低下しにくさ”である
- 上の二つの項目を公表されたデータと比べることにより、そのサイトが平均よりも良いか悪いかということを知ることができる
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