【中学2年数学(確率)】区別して確率問題を解く理由 – なぜ区別しないとダメなのか?

2019年10月6日

ここでの内容は、こんな人に向けて書いています
  • 確率で”区別して考える”がイマイチわからない
  • なぜ区別して考えないといけないかを知りたい
  • 確率の問題でよく同じ間違いをしてしまう

確率の問題ではよく、”区別して考えなさい”と言われます。

そんなとき、「区別って?」や「区別しないとなんでいけないの?」と思ったことはありませんか?

ここでは、そんな方の悩みを解決するためのページです。

【動画解説】
※記事の内容はもっと詳しい説明となっていますので、記事にも目を通してみてくださいね。

確率問題を区別して解くとは

よく確率を勉強していると、”区別して考える”という言葉が登場します。

まずはじめに、”区別する”とはどのような意味なのかを復習しておきましょう。

 

例題を使って説明します。

例えば、次のような問題が出題されたとします。

確率の例題

2枚のコインを同時に投げて、両方とも裏である確率を求めなさい

この問題を2枚のコインを区別して考えた場合と、区別しないで考えた場合の両方について見ていきましょう。

 

区別して考える

まずは、コインを区別して考える場合を説明します。

このとき、コインの裏表のすべてのパターンを描くと、

となります。

コインを区別しているので、コインに”1個目”と”2個目”というふうに名前を付けました。

このように、2つのコインに別の名前をつけて区別しているのですね。

 

②と③は表と裏が1枚ずつですが、1個目が表の場合と、2個目が表の場合では違うパターンとして扱います。

すべてのパターンは全部で4通りですね。

 

さて、問題は両方とも裏である確率を求めることです。

この4通りの中で、二つのコインが裏のパターンは④の1通りだけですね。

 

なので、

$$\text{2枚のコインを投げて、両方とも裏である確率} = \frac{1}{4}$$

となります。

これが正解の答えです。

 

区別しないで考える

次に、コインを区別しないで考える場合はどうなるでしょうか?

このとき、コインの裏表のパターンは、

のようになります。

コインを区別していないので、1枚のコインが表で、もう1枚のコインが裏であれば、それで1パターンとしています。

なので、表が1つと裏が1つである②のパターンは1つしかないのです。

 

よって、すべての場合の数は3通りとなります。

 

これより、答えは、

$$\text{2枚のコインを投げて、両方とも裏である確率} = \frac{1}{3}$$

となります。

 

しかし、この答えは間違っています。

それは、①や③が出る確率がそれぞれ\(\frac{1}{4}\)なのに対して、②が出る確率は\(\frac{1}{2}\)と①~③では出る確率が違っているからです。

\begin{align}
\text{①のパターンになる確率} = \frac{1}{4} \\
\text{②のパターンになる確率} = \frac{1}{2} \\
\text{③のパターンになる確率} = \frac{1}{4}
\end{align}

パターン分けして、場合の数から確率を求めるときは、すべてのパターンで出る確率が同じでなければいけません。

 

”すべてのパターンで出る確率が同じ”であることを確率の分野では「同様に確からしい」というのですが、授業などで聞いたことはありませんか。

確率の問題は、この「同様に確からしい」条件のもとで考えないといけません。

 

でも、なぜ②のパターンだけ出る確率が違うのでしょうか?

「②のパターンだけ出る確率が他のパターンよりも高いと言われても、感覚的にわからないよ」

と思うかもしれません。

わたしがそうでしたので。

 

以下では、

「②のパターンが出る確率が高いのはなぜ?」

「なぜ区別しないで出した答えは間違っているの?」

を納得してもらうために、様々な考え方を紹介します。

 

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たくさんのコインがあると考える方法

上で述べたような理由を感覚的に理解するために、多くの参考書やサイトで、

”たくさんのコインがあると考えてみるとよい”

とあります。

 

例えば、上で紹介した問題は、コインが2枚でした。

このコインを100枚にして考えてみるのです。

この100枚のコインを一斉に振った時、すべてが表になる確率はどのくらいでしょう?

すぐにはわかりませんが、か~なり低いことは想像できますよね。

 

次は、100枚のコインのうち、半分の50枚が表、残り50枚が裏になる確率を想像してみましょう。

こちらは、ちょうど半分半分でコインの表と裏が出る確率は、低いでしょう。

しかし、すべてのコインが表になる確率よりも高いと感じませんか?

 

つまり、100枚のコインを振ったとき、

$$\text{すべて表の確率} < \text{表と裏が半分ずつの確率}$$

ということになります。

 

このことはコインが100枚でなくとも、成り立つはずです。

なので、コインが2枚のときでも、

$$\text{すべて表の確率} < \text{表と裏が半分ずつの確率}$$

が成り立つとすれば、

上の図のようになり、確率が違うことが納得できるのではないでしょうか?

 

なので、

となるのですね。

 

ここまで読んで納得した人は、ラッキーです。

しかし、まだまだ納得できない人もいることでしょう。

そんな人は、次の説明を用意してあります。

 

連続でコインを振ると考える

上の図が納得できない人へ続いての説明です。

 

コインを2枚に戻しましょう。問題を思いだすと、

確率の例題

2枚のコインを同時に投げて、両方とも裏である確率を求めなさい

でした。

ここで、問題はコインを同時に振るとなっていますが、連続で振ると考えます。

 

連続で振っても、同時に振っても結果は変わらないはずです。

実際、コインを同時に振っても、どちらかがわずかに早く表か裏が決まりますよね。

ぴったり同時にコインが止まることの方が珍しいです。

これは、連続で振っているのと同じことです。

 

さて、コインを連続で振ると決めて、

  • 2枚とも表になるパターン
  • 1枚は表、もう1枚は裏になるパターン

のどちらの確率が大きくなるかを考えます。

 

まずは1枚目を振ります。

その結果が、表だったとします。

このとき、”2枚とも表になるパターン”と”1枚は表、もう1枚は裏になるパターン”のどちらの可能性も残っていますね。

 

続いて、2枚目を振り表であれば”2枚とも表”になりますし、裏になれば”1枚は表、もう1枚は裏”になります。

 

つまり、1枚目を振って表だったときは、

$$\text{2枚とも表になる確率} = \text{1枚は表、もう1枚は裏になる確率}$$

となるのです。

 

では、1枚目を振って裏だった場合はどうでしょうか?

このとき、”2枚とも表になるパターン”は、この時点で可能性が無くなりました。

一方、”1枚は表、もう1枚は裏になるパターン”はまだ可能性が残っています。

 

2枚目のコインが表であれば、”1枚は表、もう1枚は裏になるパターン”になれるのです。

よって、1枚目を振って裏だったときは、

$$\text{2枚とも表になる確率} < \text{1枚は表、もう1枚は裏になる確率}$$

となるのです。

 

トータルで考えると、

$$\text{2枚とも表になる確率} < \text{1枚は表、もう1枚は裏になる確率}$$

であることがわかりますね。

 

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まとめ

どうでしたでしょうか?

ここでわかって欲しかったのは、確率の問題ではなぜコインやサイコロなどを”区別する”必要があるかどうかでした。

区別しないと、それぞれのパターンが出る確率が変わってしまうからですね。

 

まだよくわからなかった人は、時間をおいてもう一度読み返してみてください。

きっといつかわかる日が来ます!勉強なんてそんなもんです。

 

質問もお待ちしていますので、下のコメントにメッセージを送ってくださいね。

 

では、このページの重要ポイントをまとめて終わりましょう。

重要ポイント

確率の問題は、コインやサイコロ、くじや玉などは、基本的に、区別して考えること!

区別するとは、それぞれに名前を付けて違うものとして考えることです。

 

区別しないといけない理由は、区別しなかったら

それぞれのパターンになる確率が違ってくるから

です。

確率の問題は、どのパターンも同じ確率で起こる状況で考えないといけません

これを”同様に確からしい”といいます。

では、また会いましょう。


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2019年10月6日中学数学, 確率

Posted by yoshi