面白い確率のパラドックスをまとめました – 人間の直感は信じられない!

2018年4月10日

この記事ではこんなことを書いています

人間の”直感”は、数学の確率という分野においては、もっとも信じてはいけないものです。

常に数学と向き合っている数学者ですら、直感的に考えてしまうと重大な間違いを犯してしまいます。

その代表的な例が、全米で大論争となった”モンティ・ホール問題”ですが、これについては以下で詳しく紹介しましょう。

では、面白くて不思議な確率のパラドックスの世界を堪能してください。

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確率のパラドックスはたくさんある

パラドックスとは、

一見正しそうに見えるが、実際は正しくない説

もしくは、その逆の

一見正しくないように見えるが、実際は正しい説

のことをいいます。

つまり、人間の直感に反している事実という言い方もできます。

 

そんなパラドックスですが、確率の分野ではたくさんのパラドックスが存在します。

それは、裏を返せば、どれだけ人間が確率について直感では理解できないのかを証明しているのです。

 

そんな直感を裏切る、面白い確率のパラドックスを紹介していきましょう!

 

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モンティ・ホール問題

もはや、数学の確率で一番有名なパラドックスかもしれません。

はじめに、全米で大議論を巻き起こしたモンティ・ホール問題を紹介しましょう。

問題自体はいたってシンプルです。

モンティ・ホール問題

あなたはテレビの番組に挑戦者として出演していると思ってください。

あなたと司会者モンティ・ホール氏の駆け引きが始まります。

 

ホール氏は言います。

ホール氏:「ここに三つのドアがあります。」

ホール氏:「ドアの後ろに、一つには車があり、あと二つにはヤギがいます。」

ホール氏:「この中からドアを一つ選んでください。」

ホール氏:「どのドアの後ろに車があればアタリです。ただし、ヤギがいた場合はハズレです。」

 

ここであなたは、まず適当にドアを選びます。

なんの情報もない状態で選んだので、選んだドアがアタリである確率は、当然

$$\text{アタリである確率}=\frac{1}{3}$$

です。

まだ終わりではないですよ。

 

ここで、司会のモンティ・ホール氏が、挑戦者であるあなたが選んでないドアの内、アタリではないドアを開けてしまいます。

そして、あなたにはもう一度ドアを選ぶ権利が与えられます。

ホール氏:「一つのハズレのドアは私が開けてしまいました。」

ホール氏:「一度だけ、あなたにドアを変更する権利を与えましょう。」

ホール氏:「ドアを変えますか?それとも今のままでいいですか?」

 

さて、ここで問題です。

あなたは、アタリを当てるためには、開けるドアを変えた方がよいでしょうか?それとも、そのままでもよいでしょうか?

どうでしょうか?

今選んでいるドアのままであれば、アタリの確率は\(1/3\)のままということは分かります。

ドアが三つあった状態から、ランダムに一つを選んだのですからね。

 

では、ドアを変えるとどうでしょう?

それでも、初めからそのドアを選んだ可能性も\(1/3\)なのですから、アタリの確率は変わらないような気がしますよね。

 

しかし、正解は

”ドアを変える”

なのです。

ドアを変えることによって、アタリの確率が\(1/3\)から二倍の\(2/3\)に上がるのです。

なぜでしょうね?

ここで問題を紹介したように、実際にアメリカのテレビでこのような番組が放送されました。

その後、世界一のIQを持つ女性や大学の数学の教授らがこの答えをめぐって激しく論争します。

 

この問題の面白いところは、問題は私たちのような数学とはあまり関係ない世界に暮らしている人でも容易に理解できるのに、その解答は専門の学者たちで混乱させてしまうということです。

なぜ、”ドアを変えた方がよい”のかは、以下の記事で詳しく解説しています。

 

死刑になる囚人が喜んだのは正しい? – 囚人の確率問題

数学のパラドックスには、なぜか囚人が登場するものが多いですが、ここで紹介する”囚人の確率問題”もその一つです。

三人の死刑囚が登場して、自分が釈放される確率について考えますが、その考えは正しいのでしょうか?

囚人の確率問題

ある刑務所に三人の囚人がいました。この囚人たちをA,B,Cと呼びましょう。

彼らは死刑囚ですが、恩赦によって三人の中の誰か一つが釈放されることになりました。

ただし、誰が釈放されるかは完全にランダムに決められ、その確率はどの囚人も

$$\text{釈放される確率} = \frac{1}{3}$$

です。

 

この話を聞きつけた囚人Aは、誰が釈放されるかを知っている看守にこっそりと話しかけます。

囚人A:「囚人BとCで死刑になる方を教えてくれないか?」

すると、看守は、

看守:「囚人Bは死刑だよ」

と答えました。

 

それを聞いた囚人Aは、内心小躍りして喜びます。

囚人Aはこう考えたのです。

囚人A:「囚人Bが死刑だということは、俺か囚人Cが釈放だ」

囚人A:「俺と囚人Cが釈放になる確率は同じだから、助かる確率は\(1/2\)だ」

囚人A:「もともとは釈放される確率は\(1/3\)だったんだから、確率が上がったぞ!」

囚人Aが釈放になる確率:\(1/3\) → \(1/2\)

 

この囚人Aの考えは正しいでしょうか?

さて、考えてみましょう。

確かに囚人Aの考えは正しいように思えます。

囚人Bが死刑になると分かった時点で、釈放されるのは囚人Aか囚人Bです。

二人とも釈放される確率は同じなわけですから、その確率は\(1/2\)でいいような気がします。

 

しかし、こんな疑問もあります。

”囚人Aの「誰が死刑になるか教えて」という質問に対して、看守はどんな場合でも答えることができる”

ということです。

例えば囚人Aが釈放の場合は囚人Bか囚人Cのどちらかを答えればよいですし、囚人Aが死刑の場合でも囚人Bか囚人Cのどちらかは同じ死刑ですのでそちらを答えればよいわけです。

どんな場合でも看守は囚人Bか囚人Cの名前を出せるということは、囚人Aが看守に質問する前から分かっていることです。

ということは、すでに分かっていることを聞いた後でなぜ確率が変わってしまうのでしょうか?

 

答えに興味のある方は、以下の記事でスッキリしてくださいね。

 

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ベルトランのパラドックス – いろいろな確率になる数学パラドックス

”ランダム”に関するパラドックスです。

このパラドックスは”ランダム”についての定義の難しさ、多様性、重要性について教えてくれるものです。

円の中に直線を引くという単純な操作でも、考え方次第でこんなパラドックスを引き起こしてしまいます。

では、ベルトランのパラドックスを紹介しましょう。これは、問題と解答まで含めて一つのパラドックスとなっています。

ベルトランのパラドックス

問題

ここに一つの円があります。その円の内側に正三角形が内接しています。下の図のような感じです。

この円内にランダムに直線を引きましょう。

この直線の長さが正三角形の一辺の長さよりも長くなる確率はどのくらいでしょうか?

ここまでが問題です。

解答

この問題に対して三つの解答が用意されました。

以下で一つずつ見ていきましょう。

解答①(線の始点を円上の一点にランダムで決める)

円上の一点を線の始点と決めます。

そこから、ランダムに線を引き始めますが、これが三角形の内側を通れば、正三角形の一辺の長さよりも長くなるはずです(以下の図を参照)。

上の画像で、赤い線は正三角形の一辺の長さよりも長いですが、青い線は短いですね。

線を引く方向は180度、そして正三角形の角度は60度なので、正三角形の一辺の長さよりも長くなる確率は、

$$\frac{60}{180} = \frac{1}{3}$$

となります。

よって、

ランダムに線を引いたとき正三角形の一辺の長さよりも長くなる確率は、\(1/3\)

です。

解答②(円の中心を通る直線にランダムで一点をとる)

次に解答その②です。

円の中心を通る直線を引きます。

その上にランダムで点を打ち、その点を通り引いている直線に垂直になるように線を引くことを考えましょう。

上の画像で、赤い線は正三角形の一辺の長さよりも長いですが、青い線は短いです。

このとき、必要な線分の長さは、以下の図のようになります。

※なぜこのような長さになるかは、後に紹介する詳細を説明した記事をご覧ください。

よって、赤い矢印の部分に点が打たれれば、正三角形の一辺の長さよりも長くなりますね。

その確率は、線の長さを考えて、

$$\frac{2}{4} = \frac{1}{2}$$

です。

よって、

ランダムに線を引いたとき正三角形の一辺の長さよりも長くなる確率は、\(1/2\)

です。

解答③(ランダムに円の中の一点をとる方法)

最後に解答その③です。

ランダムに円の中の一点を選びましょう。

その点を通る直線を引くことにします。

このとき、上の画像のように内側の小さな円の中に点が入っていれば、必ず正三角形の一辺の長さよりも長くなることが分かります。

よって、点が小さな円の中に入るための確率は、大きな円と小さな円の面積比を考えればよいことが分かります。

大きな円の半径を\(2\)とすると、小さな円の半径は\(1\)です(※その理由は紹介する詳細を説明した記事をご覧ください。)。

これより、面積比は、

$$\frac{\text{小さな円の面積}}{\text{大きな円の面積}} = \frac{\pi 1^2}{\pi 2^2} = \frac{1}{4}$$

よって、

ランダムに線を引いたとき正三角形の一辺の長さよりも長くなる確率は、\(1/4\)

です。

解答のまとめ

紹介した三つの解答をまとめます。

ランダムに線を引いたとき正三角形の一辺の長さよりも長くなる確率は、

\begin{align}
\text{線の始点を円上の一点にランダムで決める方法} &= \frac{1}{3} \\
\text{円の中心を通る直線にランダムで一点をとる方法} &= \frac{1}{2} \\
\text{ランダムに円の中の一点をとる方法} &= \frac{1}{4}
\end{align}

となりました。

このように、すべての方法で確率が異なります。

なぜでしょうか?どれが正解だと思いますか?

答えは以下の記事の中です。

 

病気の確率はどのくらい?

続いてはあなたの身にももしかしたら起こることかもしれない確率のパラドックスを紹介します。

以下で紹介するのは、がん検査で陽性反応が出たという男性の話ですが、男性を自分の身に置き換えて読んでみてください。

病気の確率はどのくらい?

ある男性が定期検査のがん検査を受けました。

その検査結果を見て、男性は驚きます。その結果は、

陽性(がんの疑いがある)

だったのです。

陽性反応が出た人は、続く正式な精密検査で本当にがんであるかを調べられます。

 

不安になった男性はがん検査についてもっとよく調べました。

すると、以下の三つのことが分かりました。

  • がん検査で本当に病気(がん)の人が、陽性反応が出る確率は90%である
  • 精密検査を受ける人の1000人に1人は、実際に病気(がん)にかかっている
  • 本当は病気(がん)にかかっていないのに、陽性反応が出る確率は10%

この事実に男性はますます落ち込んでしまいました。

どうでしょうか?

男性が落ち込んでしまうのも無理はないことでしょう。

がん検査で、本当はがんでない人に要請反応が出る確率は10%とわずかなのに対して、本当にがんの人に対して陽性反応が出る確率は90%と高い確率です。

やっぱり、男性はがんなのでしょうか?続きが知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

 

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あの宝くじ売り場はよく当たる?

続いては、皆さんも買ったことがあるかもしれない宝くじについてです。

例えば、年末ジャンボ宝くじというものがあり、この宝くじで一等が当たると5億円や、ときには10億円がもらえます。

10億円あれば何でもできますね。私は海外旅行に何度も行きたいです。

 

ただし、その当たる確率は1000万分の1という途方もなく低い確率なのです。

どのくらい当たることが難しいかを例えで分かりやすくした記事を以下に書きましたので、興味がある方はどうぞ。

 

さて、本題です。

「あの宝くじ売り場はよく高額当選する場所だ!」

みなさんはこんなことを聞いたことはありませんか?

 

しかし、確率を知っている人からすると、

「宝くじの当選番号はランダムで選ばれるんだから、よく当たる売り場なんてないだろう」

と思いますよね。

しかし、事実何度も同じ売り場から当選くじが出ていて、まったく当たりが出ていない売り場では、ずっとまったく出ないということが起きているのです。

なぜでしょうか?

当選番号がランダムであれば、どの売り場で買っても当たる確率は同じはずじゃないでしょうか?

その理由を以下の記事にまとめてみました。

 

まとめ

  • 数学の確率に関するパラドックスを紹介した
  • 確率を考えるとき、人間の直観は役に立たない
  • 色んな確率パラドックスを楽しもう!

 


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