【高校数学(三角比)】余弦定理の公式を証明 – 図を使って丁寧に説明

2020年1月14日

この記事ではこんなことを紹介しています

余弦定理の公式

\begin{align}
a^2 &= b^2 + c^2 – 2bc \cos{A} \\
b^2 &= c^2 + a^2 – 2ca \cos{B} \\
c^2 &= a^2 + b^2 – 2ab \cos{C}
\end{align}

を、図を使って丁寧に証明します。

また後半には、公式を使って実際に例題を解く方法を紹介します。

余弦定理の公式とは

余弦定理とは、三角関数に関する公式であり、以下のようなものです。

\begin{align}
a^2 &= b^2 + c^2 – 2bc \cos{A} \\
b^2 &= c^2 + a^2 – 2ca \cos{B} \\
c^2 &= a^2 + b^2 – 2ab \cos{C}
\end{align}

\(a\), \(b\), \(c\)は三角形の各辺の長さ、\(A\), \(B\), \(C\)はそれらの辺の対角の角度を表しています。

 

上では余弦定理として、\(a\), \(b\), \(c\)に関する三つの式を示しました。

しかし、三つの式は互いに対称性があるため、どれか一つを覚えておけばオッケーです。

 

また、上の式の左辺は\(a^2\), \(b^2\), \(c^2\)であり、辺の長さの二乗となっています。

ですので、長さを求めるときには有効です。

 

一方、三角形の角度を求めたいときは、上の式を少し変形して次の公式が使われます。

\begin{align}
\cos{A} &= \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc} \\
\cos{B} &= \frac{c^2 + a^2 – b^2}{2ca} \\
\cos{C} &= \frac{a^2 + b^2 – c^2}{2ab}
\end{align}

初めの式から、ただいくつか項を移項して左辺にコサインを持ってきただけです。

この式は、右辺に辺の長さだけの情報を置きましたので、辺の長さがわかっているときに角度を求めるのに便利です。

 

これらの公式の使い方はこの記事の後半で紹介します。

 

スポンサーリンク

余弦定理の証明

では、この記事のメインである余弦定理の公式の証明をしましょう。

 

まずは、以下の図のように三角形を座標の上に配置しましょう。

 

次に、下の図に示す赤い点の座標を考えます。

そのためには、赤い点からx軸へ垂線を引きましょう。

垂線をx軸が交わった点をHとします。

三角形ABHに注目すると、赤い点の座標がわかります(以下の図を参照してください。)。

\begin{align}
AH = c \sin{B} \\
BH = c \cos{B} \\
\end{align}

 

ここまでで分かっている辺の長さを図に描くと、以下のようになります。

 

次に、三角形AHCに注目します。

この三角形は直角三角形であり、三辺の長さがすべてわかっていますので、三平方の定理が成り立ちます。

\begin{align}
b^2 & = (c\sin{B})^2 + (a-c\cos{B})^2 \\
& = c^2 \sin^2{B} + a^2 – ac\cos{B} + c^2 \cos^2{B} \\
& = c^2 (\sin^2{B} + \cos^2{B}) + a^2 – ac\cos{B} \\
& = c^2 + a^2 – 2ac\cos{B}
\end{align}

これで、余弦定理の公式が導かれました!

 

\(a\), \(b\), \(c\)の順番を変えれば、同じようにすべての余弦定理の公式が導けることがわかりますね。

\begin{align}
a^2 &= b^2 + c^2 – 2bc \cos{A} \\
b^2 &= c^2 + a^2 – 2ca \cos{B} \\
c^2 &= a^2 + b^2 – 2ab \cos{C}
\end{align}

 

余弦定理の公式の使い方

証明も終わったことですし、最後に余弦定理の公式の基本的な使い方を紹介しておわります。

 

はじめに述べたように、余弦定理の公式は三角形の

  • 長さを求めるため
  • 角度を求めるため

の二つの利用方法があります。

 

長さを求める問題は、

\begin{align}
a^2 &= b^2 + c^2 – 2bc \cos{A}
\end{align}

の公式を使います。

 

一方、角度を求める問題には、

\begin{align}
\cos{A} &= \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc}
\end{align}

の公式を使います。

 

長さを求めるための使い方

まずは、長さを求めるための公式の使い方からです。

 

以下のような例題を考えましょう。

例題①

以下のような三角形があります。

\(a\)の長さを求めなさい。

という問題です。

 

この問題は長さを求める公式ですね。

ですので公式は、

\begin{align}
a^2 &= b^2 + c^2 – 2bc \cos{A}
\end{align}

の方を使用しましょう。

 

\(a\)以外の長さ\(b\), \(c\)と、\(a\)の対角の角度\(A\)がわかっています。

\begin{align}
b &= 8 \\
c &= 6 \\
A &= 60^{\circ}
\end{align}

これらの値を公式に代入すると、

\begin{align}
a^2 &= b^2 + c^2 – 2bc \cos{A} \\
&= 8^2 + 6^2 – 2 \times 8 \times 6 \times \cos{60^{\circ}} \\
&= 64 + 36 – 96 \times \frac{1}{2} \\
&= 52
\end{align}

ですので、\(a\)の長さは、

$$a = \sqrt{52} = 2 \sqrt{13}$$

と求まります。

 

角度を求めるための使い方

次は、角度を求めるための使い方を習得しましょう。

例題は以下のようなものです。

例題②

以下のような三角形があります。

角度\(A\)を求めなさい。

こんどは、三角形の三辺の長さがすべて分かっているときに、角度を求める問題です。

 

角度を求める問題のときは、次の公式を使います。

\begin{align}
\cos{A} = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc}
\end{align}

 

公式の右辺の\(a\), \(b\), \(c\)はすべてわかっています。

\begin{align}
a &= 2 \sqrt{19} \\
b &= 6 \\
c &= 10
\end{align}

 

あとは公式に代入するだけです。

\begin{align}
\cos{A} & = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc} \\
& = \frac{6^2 + 10^2 – (2 \sqrt{19})^2}{2 \times 6 \times 10} \\
& = \frac{36 + 100 – 76}{120} \\
& = \frac{1}{2}
\end{align}

よって、角度\(A\)は、

\begin{align}
\cos{A} & = \frac{1}{2} \\
A & = 60^{\circ}
\end{align}

となり、答えは\(A=60^{\circ}\)です。

 

スポンサーリンク

まとめ

  • 余弦定理とは、三角形の長さや角度を求めるための公式
  • 求めたいのが長さか角度かによって、2パターンの余弦定理を使い分ける必要がある
  • 余弦定理がなぜ成り立つかを図を使って丁寧に証明した
  • 練習問題を解いて余弦定理に慣れていこう

※コメントの反映には少し時間がかかります

2020年1月14日三角比, 高校数学

Posted by yoshi