黄金比の求め方 – 世界で最も美しい比率

2020年5月19日

ここではこんなことを書いています

世界で最も美しい比率を言われている黄金比はどのようにして求めることができるのでしょうか。

その方法には様々なものがあります。その中には電卓などを使わずに手計算でかなりの精度まで黄金比を求めることができる方法も存在しますよ。

ここでは、黄金比のいろいろな求め方を紹介します。

「なんでこんな方法で求まるの?」という不思議な方法もあって面白いですよ。

世界で一番美しいと言われている黄金比とは

黄金比”という比率を知っていますか?

”黄金比”は、世界でもっとも美しいと言われている比率のことです。

 

”比率”とは”割合”のことであり、例えばノートを例にしてみましょう。

下の画像を見てください。

これは、一般的によく使われているノートですが、縦と横の長さはそれぞれ36.4cmと25.7cmです。

したがって、このノートの縦と横の長さの関係は、

$$36.4:25.7$$

ということになります。これが、”比”ですね。

 

黄金比とは、縦と横の長さの関係がもっとも美しくなる比なのです。

その比は、

$$\text{黄金比} = 1:1.618\cdots$$

です。

長さ1に対して約1.618ですが、厳密には小数点以下の数字は無限に続いています。

黄金比の定義

値は分かりましたが、黄金比の定義はなんなのでしょうか?

 

黄金比は、以下のようにして決められています。

まず、1つの直線があります。

それを二つに分割しますが、一つは長さ\(a\)、もう一つは長さ\(b\)です。

このとき、\(a\)と\(b\)が、

$$a:b = b:(a+b)$$

が成り立つように分割したときの\(a\)と\(b\)の比率、

$$a:b$$

を黄金比と言います。

 

もっとイメージしやしく、

$$a:b = b:(a+b)$$

を詳しく見ていきましょう。

\(a\)と\(b\)は赤い線と青い線の長さです。

そして、\((a+b)\)は元の線の長さです。

つまり、上の比率の式は、

赤い線の長さ\(a\)に対する青い線の長さ\(b\)の比率は、青い線の長さ\(b\)に対する元の線の長さ\((a+b)\)の比率と同じ

ということを表しています。

これが成り立つときの\(a\)と\(b\)の比が黄金比なのですね。

 

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黄金比のいろいろな求め方

王道の求め方 – 定義から直接求める

一番王道な求め方は定義にしたがって求める方法でしょう。

黄金比の定義を思い出してみましょう。

$$a:b = b:(a+b)$$

が成り立つときの\(a\)と\(b\)の比が黄金比になるのでしたね。

 

この比から、次の式を作ることができます。

\begin{align}
a (a+b) & = b^2 \\
-b^2 + ab + a^2 & = 0
\end{align}

ここで、\(a=1\)と置きましょう。\(a\)が\(1\)のときに\(b\)がどうなるかを考えれば比が分かるので、このように置いても問題ありません。

すると、解くべき方程式は、

\begin{align}
b^2 – b – 1 = 0
\end{align}

となります。

シンプルな二次方程式ですが、答えは少し複雑です。

解の公式を使って解くと、答えは、

\begin{align}
b = \frac{1 \pm \sqrt{5}}{2}
\end{align}

となります。

答えには、正と負がありますが、負をとってしまうと答えが負となります。

bは線の長さですので、長さは負とはなりません。よって、答えの正の方をとると\(a\)と\(b\)の比は、

\begin{align}
a:b = 1:\frac{1+\sqrt{5}}{2}
\end{align}

です。これを小数で表現すると、

\begin{align}
a:b = 1:1.618033989\cdots
\end{align}

となり、これが黄金比です。

フィボナッチ数列を利用して求める

フィボナッチ数列を利用して求めるという方法もあります。

フィボナッチ数列とは、

”\((0, 1)\)からはじまり、その数の前2つの数を足した数を並べていった数字の羅列”

です。

実際にフィボナッチ数列を作っていってみましょう。

始まりは\((0, 1)\)からですので、

$$0, 1$$

ですね。そして、その次の数は前の2つの数を足した数ですので、\(0+1=1\)の\(1\)が入ります。

$$0, 1, 1$$

次の数は\(1+1=2\)なので\(2\)です。

$$0, 1, 1, 2$$

この調子でどんどん数を増やしていくと、

$$0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21 ,34, 55, 89, 144, 233, 377, 610, 987, 1597, 2584, 4181, 6765, \cdots$$

となります。どの数も前の2つの数を足した数になっていますね。

 

さて、ここからどのように黄金比を作りだすのでしょうか。

それには、隣り合った数の比をとるだけでよいです。

例えば、上の数列から隣り合った数\((21, 34)\)に注目しましょう。

この隣り合った数の左側の数を分母に、右側の数を分子に持ってきて計算すると、

$$\frac{34}{21} = 1.619047619\cdots$$

となります。

黄金比で長さ1に対するもう一方の長さは\(1.618033989\cdots\)なので、それに近い値となっていますね。

 

さらに別の二つの数字を使っても求めてみます。

今度は、大きな数\((4181, 6765)\)を選びましょう。

$$\frac{6765}{4181} = 1.618033963\cdots$$

となりました。

さっきよりもかなり正確に黄金比を求められていますね。

このように、大きな数を使えばより正確な黄金比を求めることができるのです。

ですので、もっと大きな数までフィボナッチ数列を調べ、より大きな数の比を求めることでさらに正確な値を求めることができるでしょう。

簡単な繰り返し操作で求める

黄金比は次のような簡単な繰り返し操作で求めることができます。

  1. 好きな数字を一つ決めます(どんな数字でもいいのですが\(2\)あたりがオススメです)
  2. その数字で\(1\)を割ります
  3. 操作2で出た数に\(1\)を足します
  4. 操作3で出てきた数を使って、さらに\(1\)を割ります
  5. 操作4で出た数に\(1\)を足します
  6. 操作4と操作5を繰り返し行うと黄金比に近づいていきます

 

実際にやってみましょう。

はじめの数字は\(2\)とします。\(2\)で\(1\)を割ると、

$$\frac{1}{2} = 0.5$$

です。この数に\(1\)を足すと、

$$0.5 + 1 = 1.5$$

です。さらにこの数で\(1\)を割ると、

$$\frac{1}{1.5} = 0.666\cdots$$

となり、この数に\(1\)を足すと、

$$0.666\cdots + 1= 1.666\cdots$$

です。

少し黄金比に近づいてきました。

さらに、続けていったのが下の表です。

操作回数 黄金比 \(1\)を割って\(1\)を足す
1 2 1.5
2 1.5 1.666666…
3 1.666666… 1.6
4 1.6 1.625
5 1.625 1.615384…
6 1.615384… 1.619047…
7 1.619047… 1.617647…
8 1.617647… 1.618181…
9 1.618181… 1.617977…
10 1.617977… 1.618055…

10回繰り返し操作を行うと、正確な黄金比の数(\(1.618033989\cdots\))にだいぶ近づいてきましたね。

 

まとめ

  • 黄金比の定義は(\(a:b=b:(a+b)\))が成り立つときの\(a\)と\(b\)の比率である
  • 黄金比の求め方は様々なものがある
  • 上の定義から二次方程式を導き、解くことで求まる
  • フィボナッチ数列を利用して求める方法もある
  • 簡単な繰り返し操作で求める方法もある

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