フィボナッチ数からつくる最も美しい螺旋 – 螺旋が使われている例は?

2020年5月20日

この記事はこんなことを書いてます

フィボナッチ数から作られる螺旋は、この世の中でもっとも美しい螺旋と言われています。

ここでは、まずフィボナッチ数と数列、そしてその性質について紹介します。

さらに、螺旋の作り方と、実際に螺旋が使われている例を紹介しましょう。

フィボナッチ数とは

フィボナッチ数は、中世ヨーロッパで最も偉大な数学者の一人とされているイタリアのレオナルド・フィボナッチによって発見された数です。※インドの数学者は彼よりももっと早く発見していたという説もあります。

フィボナッチ数は以下のようなものです。

$$0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, \cdots$$

数字が並んでいますね。これら一つ一つの数字がフィボナッチ数であり、並んだ数字全体を指して”フィボナッチ数列”と呼ばれています。

フィボナッチ数列はどこまでも無限に続いていきます。

フィボナッチ数列の性質

一見、何の規則性もないように見えるフィボナッチ数列ですが、どんな特徴があるのでしょうか。

フィボナッチ数列のどこからでもいいので、三つの連続した数をとってきましょう。

ここでは、

$$8, 13, 21$$

を選びました。

1つ目と2つ目の数を足してみましょう。

$$8 + 13 = 21$$

答えは、三つ目の数となりました。これは、どの連続した三つも数を選んでも同じようになります。

このようにフィボナッチ数列とは、

前の二つの数を足した数が次の数となる

という性質を持っています。

黄金比に向かうフィボナッチ数列

フィボナッチ数列を語る上で欠かせないのが、黄金比との関係です。これはフィボナッチ数からつくる螺旋との関係も深いものです。

黄金比とは、最も美しいとされている比率で、自然界や人間社会に多く登場します。

その比は、

$$1:1.618$$

です。

例えば、自然界では、ひまわりが生存競争を勝ち抜くために黄金比を使って種を保有していますし、社会ではGoogleやTOYOTAなど多くの企業がロゴに黄金比を採用しています。

詳しくは、

をご覧ください。

 

さて、フィボナッチ数列と黄金比を見ていきましょう。もう一度、フィボナッチ数列を書くと、

$$0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, \cdots$$

でしたね。

ここで、隣り合う数との比をとってみましょう。

$$\frac{1}{1}, \quad \frac{2}{1}, \quad \frac{3}{2}, \quad \frac{5}{3}, \quad \frac{8}{5}, \quad \frac{13}{8}, \quad \frac{21}{13}, \quad \frac{34}{21}, \quad \cdots$$

となり、これを計算して小数で表示すると、

$$1, \quad 2, \quad 1.5, \quad 1.66 \cdots, \quad 1.6, \quad 1.625, \quad 1.6153\cdots, \quad 1.6190\cdots, \cdots$$

ですね。

これをもっと先まで続けていくと、どんどん黄金比である1.618に近づいていきます。

フィボナッチ数列には、黄金比とも密接な関係があるのですね。

 

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フィボナッチ数から螺旋をつくる

フィボナッチ数と数列の性質についてはこれくらいにして、フィボナッチ数から螺旋を作ってみましょう。

まずは、フィボナッチ数列を、

$$0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89$$

まで用意します。

本当は、もっともっと永遠に続くフィボナッチ数列ですが、とりあえずここまでを考えます。

はじめに、一番右の二つの数字、

$$55, 89$$

を使って長方形を作ります。

横の長さを\(89\)とし、縦の長さを\(55\)とします(下の画像)。

 

次に、二つの数字を一つずらして、

$$34, 55$$

を使います。

この数で長方形を作りましょう。それを下の図ように上で作った長方形の右側に配置します。

さらに続けます。次は、

$$21, 34$$

です。

これを\((1, 1)\)の正方形まで続けていくと、下のような図形が出来上がります。

四角形の中に書いている数字は、その正方形の一辺の長さです。フィボナッチ数列になっていますね。

そして、赤い点で示した線の接点を、正方形の一辺の長さが半径になるような円弧で結んでみましょう。

この赤い線がフィボナッチ数列から作った螺旋です。

 

でも、螺旋を作ったはいいですが、この螺旋が何かの役に立つのでしょうか。

実は、この螺旋は皆さんが身近なところも含めて、色々な場所で活躍しているのです。

その色々な例を紹介しましょう。

 

螺旋が使用されている例は?

貝殻

フィボナッチ数の螺旋でよく代表されるのが貝殻です。

これは、見事な螺旋ですね。

ひまわりの種

ひまわりの種もフィボナッチ数と関係深い自然界のものの一つです。

ひまわりには螺旋だけでなく、フィボナッチ数が深く関係しています。ひまわりは生存競争に勝つために自然に数学を使っていたのです。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

台風

これは地球上でもっとも大きな螺旋の登場の仕方かもしれません。

夏になると、よくニュースで見る映像ですが、確かに螺旋ですね。

写真の構図

写真の構図はこの螺旋を意識してとると美しい写真が撮れると言われています。

是非、試してみてくださいね。

 

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まとめ

  • フィボナッチ数から作られるフィボナッチ数列は、\(0,1\)から始まり、前の二つの数字を足した数を書いていくことで作ることができる
  • フィボナッチ数列の隣り合った数の比は、黄金比と呼ばれる世界でもっとも美しいと言われる比率へ近づいていく
  • フィボナッチ数列の隣り合った二つの数を使って長方形を作り、それらの長方形を重ねていくことで螺旋ができあがる
  • この螺旋は自然界や人間社会で様々なところに登場する

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