ひまわりに隠されたフィボナッチ数列と黄金比 – ひまわりは黄金の花?

2020年5月19日

この記事はこんなことを書いてます

自然界は面白いことに、数学と密接な関係がある動物や植物がたくさんいます。自然界で生活する動物や植物は、弱肉強食の厳しい世界で生き残るために美しい数学にたどり着いたのです。

ここではその中で、私たちの身近にも存在する植物である”ひまわり”について紹介します。

ひまわりも生存競争の中で数学を利用している植物の一つであり、フィボナッチ数列という数列と密接に関係しています。

ひまわりはどのようにフィボナッチ数列を利用しているのか?数学とひまわりの密接な関係を見ていきましょう。

フィボナッチ数列を簡単に紹介

基本的な性質

フィボナッチ数列とは、

「1, 1」から始まり、前の二つの数字を足したものをドンドン並べていったもの

です。実際に書いてみると、

1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, …

となります。下の図のように、どの数字も前の二つの数字を足したものになっていますね。

例えば8に注目すると、その前二つの数字は3と5ですので、足すと8になります。

これが、フィボナッチ数列のもっとも基本的な性質です。

隠された黄金比

そして、もう一つ重要な性質があります。数列の隣り合った数字の比をとって並べてみましょう。つまり、二つの並んだ数字で右の数字から左の数字を割るのです。すると、

$$\frac{1}{1}, \quad \frac{2}{1}, \quad \frac{3}{2}, \quad \frac{5}{3}, \quad \frac{8}{5}, \quad \frac{13}{8}, \quad \frac{21}{13}, \quad \cdots$$

となり、これを計算して小数で表示すると、

$$1, \quad 2, \quad 1.5, \quad 1.66\cdots, \quad 1.6, \quad 1.625, \quad 1.6153\cdots, \quad \cdots$$

となります。これは、右にいくほど何かある数に近づいていっているような感じがしますね。実は、

フィボナッチ数列の隣り合う比をとっていくと、黄金比(1.61803)に近づいていく

のです。

黄金比とは、この世の中で最も美しいと言われている比であり、世の中の芸術や紙幣、企業のロゴデザインにまで幅広く使われている数です。下の画像は、Googleのロゴの例です。

また、自然界にもこの黄金比と深い関係を持った生物が多く存在するのです。

黄金比については、以下の記事で紹介していますので、興味のある人はご覧ください。

 

さて、フィボナッチ数列についてはこのくらいにして、ひまわりとフィボナッチ数列の関係性について見ていきましょう。

ちなみに、フィボナッチ数列にはここで紹介したこと以外にも、多くの面白い性質やエピソードがあります。それに関しては、別の機会で詳しく紹介することにしましょう。

 

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ひまわりの種に隠されたフィボナッチ数列

種の螺旋構造に注目しよう

では、ひまわりのどこにフィボナッチ数列は使われているのでしょうか。

それは、種の並び方です。

ひまわりは下の画像のように花びらに囲まれるようにして、たくさんの種をつけますよね。

もっと種に寄ってみましょう。すると、

このように、なにやら渦巻き状(螺旋状)にキレイに配置されています。これをイラストにすると、下の画像のようになります。

赤い線は螺旋状の種の並びを示しています。線はひまわりの中心から外側に向かって時計回りになっています。

また、見方を変えると、青い線のように反時計回りに種が配置されているようにも見えます。

このように、時計回りと反時計回りの種の配置を持つひまわりですが、時計回りと反時計回りの線の数は絶対に、

  • 時計回りが21本、反時計回りが34本
  • 時計回りが34本、反時計回りが55本
  • 時計回りが55本、反時計回りが89本

となるのです。これはどんな大きさのひまわりでも必ずこの三つのパターンしか存在しません。

例えば、上のイラストで見たひまわりの時計回り(赤い線)と反時計回り(青い線)の本数を数えると、

となり、時計回りが21本反時計回りが34となっており、ちゃんと三つのパターンの一番上のパターンになっていますね。

螺旋の数とフィボナッチ数列

上でみたように螺旋の数には、

21, 34, 55, 89

という四つの数字が使われていますが、実はこれらの数はフィボナッチ数列となっているのです。

はじめに紹介したように、フィボナッチ数列は、

1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, …

ですが、21以降も書いてみると、

1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, …

と続きます。太字で書いた数列の部分がまさに螺旋の数です。例えば、89はその前の二つの数字(34と55)を足した数になっていますね。

このように、ひまわりの種の並びにはフィボナッチ数列が隠れているのです。

なぜひまわりはフィボナッチ数列を選んだのか

なぜひまわりの種の並びはフィボナッチ数列となっているのでしょうか?

それは、できるだけ多くの種を持つにはフィボナッチ数列を利用した並べ方が一番良いからです。

ひまわりの顔(種が配置されている部分)は円になっていますが、この円の中に一番多くの種を保有できる並びが上で見てきたフィボナッチ数列となる並びなのです。

種を多く保有できるということは、次世代に子孫を残す確率も高くなります。そのために、ひまわりは自然にフィボナッチ数列を選んだのです。

 

フィボナッチ数列は黄金比とも密接に関係しています。反時計回りの螺旋の数を時計回りの螺旋の数で割ってみましょう。すると、

  • 時計回りが21本、反時計回りが34本 ⇒ 34÷21=1.61904…
  • 時計回りが34本、反時計回りが55本 ⇒ 55÷34=1.61764…
  • 時計回りが55本、反時計回りが89本 ⇒ 89÷55=1.61818…

ですね。どれも黄金比(1.61803)に近い数となっています。

種の配置に黄金比を持つ花”ひまわり”は、黄金の花と言ってよいかもしれません。

 

松ぼっくり、貝などもフィボナッチ数列兄弟

ひまわり以外にも自然界にはフィボナッチ数列が好きな植物、生き物がいっぱいいます。

例えば、松ぼっくりの模様やオウムガイの貝殻などです(下の画像)。

松ぼっくりの模様はひまわりと似ている部分があり、フィボナッチ数列が使われていそうだということが想像できますね。

では、オウムガイの貝殻には、どこにフィボナッチ数列が隠されているのでしょうか?螺旋構造をしているのは分かりますが、ひまわりの時のように螺旋の数というわけではなさそうです。

オウムガイの貝殻とフィボナッチ数列の関係については、またの機会のお楽しみということにしましょう。

 

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まとめ

  • フィボナッチ数列は、前の二つの数を足した数を並べていくことで作ることができる
  • ひまわりは、螺旋状に配置された種にフィボナッチ数列が隠されている。螺旋の数がフィボナッチ数列になっている
  • ひまわりがフィボナッチ数列を選んだのは、決まった円の中にできるだけ多くの種を保有するためである
  • ひまわり以外にも、松ぼっくりやオウムガイなどフィボナッチ数列が関係している生物は自然界にたくさんいる

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