あなたが見ている地平線までの距離を計算してみよう – 意外な結果が!

2018年4月13日

この記事ではこんなことを書いています

私たちが見ている地平線はどのくらい離れてるのでしょうか?

実際に計算して求めてみましょう。

この記事では、計算式の導出方法を解説し、人間が見ている地平線までの距離を出してみます。

さらに、スカイツリーなど高い位置から地平線を見たときについても考えてみましょう。

また、おまけとして、計算式を簡単にする方法も最後に触れます。

地平線までの距離を予想してみよう

私たちが普段生活している中では、よほど田舎でなければ地平線なんて見えません。

しかし、

  • 夏に海へ出かけたとき
  • 高い展望台に上って遠くを見たとき
  • 飛行機に乗って外を眺めたとき

きれいな地平線が見えます。

このとき見えている地平線が私たちが見ることのできる、もっとも遠い地球の地点ということになりますが、その地点までの距離はどのくらいあるのでしょうか?

予想してみてください。

10km? 100km? 1000km?

 

私の予想は、500kmぐらいじゃないかと思います。(※この記事を書いている時点で私は答えをしりません。今から計算します。)

その理由は1000kmだと札幌と東京ぐらいの距離があり、ちょっと長すぎる気がします。

100kmは、名古屋と京都間ぐらいです。それだとちょっと短過ぎる気がするので、間をとって500kmと予想しました。

では、実際に計算していきましょう。

意外な結果を期待します!

 

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どうやって計算できるのか?

地平線までの距離とは、どのようにしたら求められるのでしょうか?

地平線と人間の関係

その前に、地平線とはなんでしょうか?

それは、地球と空の境界線です。水平線とも呼ばれます。

つまり、私たちが、

「地平線が見えた!」

といっているときは、下の画像のように、

自分の見える限界の距離を見ているのですね。

 

イラストをみると、身長によって見える地平線までの距離が変わってきそうです。

 

ちなみに、人間は地球の半径よりもうんと小さいですから、現実は上のイラストのようではなく、下のイラストのようになるでしょう。

ただし、今回はわかりやすいように人を大きくしたイラストで説明していきます。

 

計算式はどうなるの?

では、地平線までの距離を計算していきましょう。

計算式はどうなるのでしょうか?

 

人と目線、地球の半径の関係は、次の図のようになります。

赤い直角三角形が出てきました。

 

ここで、

  • \(\text{人の身長(目線の高さ):}H\)
  • \(\text{地球の半径:}R = 6371\text{km} = 6.371 \times 10^6 \text{m}\)
  • \(\text{地平線までの距離:}x\)

とします。

 

すると、直角三角形はの各辺は、

となります。

この\(x\)が、求めたい”地平線までの距離”になっています。

 

直角三角形には、三平方の定理が使えますので、

$$R^2 + x^2 = (R+H)^2$$

が成り立ちます。

これを\(x\)について、整理すると、

$$x = \sqrt{(R+H)^2 – R^2}$$

となります。

 

あとは、地球の半径\(R\)と人間の目線の高さ\(H\)に値を代入すると、地平線までの距離\(x\)が求まります。

 

地平線までの距離を計算してみよう

人間が見ている地平線までの距離は?

まずは、人間の目線の高さ\(H\)を\(170\)cm(\(1.7\)m)として、計算してみましょう。

地球の半径\(R\)は\(6.371 \times 10^6\)mです。

上の式に値を代入して計算すると、

\begin{align}
x & = \sqrt{(R+H)^2 – R^2} \\
& = \sqrt{(6.371 \times 10^6+1.7)^2 – (6.371 \times 10^6)^2} \\
& = 4654\text{m} = 4.654\text{km}
\end{align}

なります。

よって、地平線までの距離は約4.7kmということになります。

 

近いですね~。すぐそこじゃないですか…

予想より、だいぶ近い距離が出てしまいました。

 

目線が2mの人では?

目線が1.7mの凡人ではなく、2mの人ではどうでしょうか?

すでに上で見たように、身長が大きいほうが遠くに地平線が見えることは確認済みです。

 

上の公式に2mを代入して計算してみます。

\begin{align}
x & = \sqrt{(R+H)^2 – R^2} \\
& = \sqrt{(6.371 \times 10^6+2.0)^2 – (6.371 \times 10^6)^2} \\
& = 5048\text{m} = 5.048\text{km}
\end{align}

となりました。約5km先に地平線が見えています。

 

1.7mの人と比べて、30cmだけ高くなるだけで、見える距離は300mも長くなるのですね。

私の感覚では、その差は大きいように感じました。

 

スカイツリーから地平線を見ると?

次は、東京スカイツリーから地平線を見てみましょう。

スカイツリーの高さは、634mです。展望台まではもう少し低いかもしれませんが、今回はこれで計算してみましょう。

 

\begin{align}
x & = \sqrt{(R+H)^2 – R^2} \\
& = \sqrt{(6.371 \times 10^6+634)^2 – (6.371 \times 10^6)^2} \\
& = 89882\text{m} = 89.882\text{km}
\end{align}

約90km先が見えるようですね。

う~ん…それでもあんまり大したことないですね。

 

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感想と計算式に関するマメ知識

感想

この記事では、地平線までの距離を考えてきました。

私の予想では、500kmくらい先までは見えていると思っていたのですが、人間の高さから見える地平線はせいぜい4km前後のようですね。

 

ちょっとがっかりです。

今まで、頑張れば歩いていける距離を、”ものすごく神秘的な場所”のような間隔で見ていたなんて…

 

スカイツリーに上ったとしても、せいぜい100km先までしか見えないのです。

まだ東京を出てさえいないのではないでしょうか。

 

計算式に関するマメ知識

最後に地平線を計算するための式に関して少し補足をして終わりたいと思います。

地平線までの距離を求めるための計算式は、

\begin{align}
x = \sqrt{(R+H)^2 – R^2}
\end{align}

ここで、

\begin{align}
& H\text{:人の身長(目線の高さ)} \\
& R\text{:地球の半径} \\
& x\text{:地平線までの距離}
\end{align}

でしたね。

 

式のルートの中を展開してみましょう。すると、

\begin{align}
x & = \sqrt{(R+H)^2 – R^2} \\
& = \sqrt{R^2+2RH+H^2 – R^2} \\
& = \sqrt{2RH+H^2}
\end{align}

となります。

ここで、人間の身長\(H\)は、地球の半径\(R\)に比べてものすごく小さいはずです。

$$H \ll R$$

このようなときには、\(H^2\)は無視しても構いません。

元々小さいものを、二乗したら、さらに小さくなるからです。

 

よって、計算式は、

\begin{align}
x = \sqrt{2HR}
\end{align}

となります。

 

確認のために、\(H=1.7\)mとして、\(x\)を求めてみましょう。

\begin{align}
x & = \sqrt{2HR} \\
& = \sqrt{2 \times 1.7 \times (6.371 \times 10^6)} \\
& = 4654.180916
\end{align}

となりました。\(4.654180916\)kmですね。

ちなみに、正式な計算式で計算した値は、\(4.654181227\)kmですので、ほとんど同じであることがわかります。

こっちの式を使ったほうが、かなり計算が楽ですね。

 

まとめ

  • 地平線までの距離を計算する式は、直角三角形を作って三平方の定理を使うことで解ける
  • 見ている地平線までの距離は思ったより近かった(私の感想)
  • その距離は約4km
  • 身長が30cm伸びると、見える距離は約300m伸びる
  • スカイツリーに上っても100kmまでは見えない
  • 計算式は人間の身長が、地球の半径と比べてとても小さいと仮定することで、簡単にできる

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